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オリコン1位AKB、カラオケでは圏外 ヒット曲、ランキングで一変

2015.01.24

2014年、最も売れたCDシングルはAKB48の「ラブラドール・レトリバー(ラブ犬)」でした。ところがカラオケと「iTunes」だとトップ10から外れ、両方とも1位は「レット・イット・ゴー」に。一口にランキングと言っても、様々な切り口が生まれています。

オリコン、AKB・ジャニーズ・EXILEが独占

2014年のオリコンの売り上げランキング。シングル部門のトップ10のうち、AKB48グループがトップ5を独占、8位と10位にもランクインしました。AKB48グループ以外には嵐とEXILE TRIBEが入りました。たしかにAKB48グループは人気のあるアイドルですが、2014年にはAKB48グループ以外にもたくさんの曲が世に出たはず。トップ10どころか、トップ20まで広げても、AKB48グループ、ジャニーズグループ、EXILEグループしか見当たりません。

天皇陛下即位20年を祝う国民祭典でダンスを披露するEXILEのメンバー=2009年11月
天皇陛下即位20年を祝う国民祭典でダンスを披露するEXILEのメンバー=2009年11月
カラオケ、トップは「レリゴー」

これが、カラオケのランキングになると一変します。2014年にJOYSOUNDで最も歌われた曲は「レット・イット・ゴー~ありのままで~」(松たか子)でした。2位は「恋するフォーチュンクッキー」(AKB48)。3位にはボーカロイド曲の「千本桜」(WhiteFlame feat.初音ミク)が入りました。オリコンのトップ20でJOYSOUNDのランキングに入った曲はゼロでした。

氷の城を築き、解放されるエルサ。主題歌「Let It Go ~ありのままで~」を高らかに歌い上げるシーン
氷の城を築き、解放されるエルサ。主題歌「Let It Go ~ありのままで~」を高らかに歌い上げるシーン
出典:(c)2014 Disney. All Rights Reserved.
レンタル、「ゲラゲラポー」が登場

さらに、TSUTAYAのレンタルシングルのランキングを見てみると、1位に「GUTS!」(嵐)が入ります。そして2位には、オリコンにもJOYSOUNDにもトップ10入りしていない妖怪ウォッチの「ゲラゲラポーのうた」(キング・クリームソーダ)が登場します。3位は「Bittersweet」(嵐)でした。歌手名で見ると、同じくオリコンにもJOYSOUNDにもトップ10入りしていない「SEKAI NO OWARI」が5位、7位、10位に入り、「西野カナ」も4位、9位に入っていました。

このように、流行っている曲を探る指標には、色んな切り口があります。
しかし、国内音楽チャート情報の草分けでもあるオリコンが発表するランキングの知名度が高いだけに、音楽業界でオリコン以外の指標に注目が集まることは、なかなかありませんでした。

子どもたちと「ようかい体操」を踊るラッキィ池田さん=奈良県大和郡山市、2014年12月
子どもたちと「ようかい体操」を踊るラッキィ池田さん=奈良県大和郡山市、2014年12月
ビルボードジャパン、複合チャートを発表

ビルボードジャパンが昨年発表した「Billboard JAPAN HOT100」は、シングルセールスの他に計5つの指標を組み合わせたランキングです。シングルCDセールス、ラジオのオンエア回数、ダウンロード回数、曲名などを読み取るためにデータベースにアクセスした数(主にレンタル店などからCDを借りた時に使用)、ツイート数(アーティストと楽曲の両方が入るツイートの投稿数)で構成されています。

「Billboard JAPAN HOT100」の1位は「GUTS!」(嵐)、2位は「心のプラカード」(AKB48)、3位は「ラブラドール・レトリバー」(AKB48)でした。トップ10のうち、AKB48グループは2曲、ジャニーズグループが3曲入ったものの、「ハッピー」(ファレル・ウィリアムス)が6位、「レット・イット・ゴー~ありのままで~」(松たか子)が7位に入るなど、オリコンとは異なるランキングになりました。

ビルボードジャパンが発表した「Billboard JAPAN HOT100」
ビルボードジャパンが発表した「Billboard JAPAN HOT100」
出典:Billboard JAPAN Music Awards 2014│Special│Billboard JAPAN
「Billboard JAPAN HOT100」を企画した礒崎誠二さんは「ランキングは音楽を知る大事なきっかけ。世の中には、たくさんのすばらしい曲があることを知ってもらいたかった」と話しています。今後は、ストリーミングなど新しい音楽の楽しみ方を測れる指標も組み合わせていく予定です。

「プロとアマの二元論、時代遅れ」

このような、定番ランキングとお茶の間での認知度とのズレや、ランキングの細分化の理由はなんでしょうか。

音楽プロデューサーの永田純さんは「音楽産業がセールスという指標を重視し過ぎた結果、ランキングだけでは実態が見えなくなってしまった」と分析します。

永田さんが注目するのは、本業ではない形で音楽に携わる人たちが増えていることです。「仕事をしながらライブをし、そんな人が音楽の野外フェスティバルであるフジロックに出ている。プロとアマの二元論で考えるのは時代遅れ」と指摘。「音楽産業ではなく、音楽という視点で見れば、実にたくさんのスタイルが生まれている。ショップ店員が選ぶ『CDショップ大賞』や、『Billboard JAPAN HOT100』のような、セールス以外の指標を生かす取り組みは少しずつ広がっている。今後は、どうやって新しいランキングを広めていくかが課題になる」と話しています。

「ザ・ベストテン」の共同司会者。黒柳徹子さん久米宏さん=1979年7月
「ザ・ベストテン」の共同司会者。黒柳徹子さん久米宏さん=1979年7月
複合チャートは、視聴者のリクエストハガキ数を集計に加える「ザ・ベストテン」など、テレビの音楽番組で一時代を築きました。
1970~80年代、毎週変動するランキングや年末の歌謡大賞番組は、出場歌手の悲喜こもごもと共に、世代を超えてお茶の間の関心事でした。

しかし、娯楽の多様化や、一家に1台しかないテレビを家族全員で囲むライフスタイルの衰退とともに、音楽番組は減少します。
ヒット曲を知るきっかけとして、「他の多くの人に聞かれている」指標としての売り上げランキングの存在が大きくなりました。

ただ、「YouTube」や「iTunes」など、音楽の楽しみ方がインターネットでも広がってきた今、セールス以外のランキングを発掘する時期に来ているのかもしれません。

 

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